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オススメ度
凡人:☆
ロストクインテットファンな人:☆☆☆☆☆
和声レベル:マイルス的モード
音の歪みによりさらにフリーハーモニー化が進む
リズムアプローチ:ロック、ファンクを取り入れたスウィング
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1. Directions
2. Miles Runs The Voodoo Down
3. Milestones
4. Footprints
5. Round About Midnight
6. It's About That Time
7. Sanctuary~The Theme
Miles Davis(tp)
Wayne Shorter(ss,ts)
Chick Corea(elp)
Dave Holland(b,elb)
Jack Dejohnette(ds)
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あまりにも凄まじいアルバムです。
メンバーはロストクインテットと呼ばれる、第二期クインテットからウェイン・ショター以外の3人がメンバーチェンジしたものです。
この編成で録音しているアルバムは少ないため、知名度は低いのですが、ものすごい演奏をしていたことがこのCDを聴けば分かると思います。
楽器の電化が進み、ウェイン・ショーターもそれに合わせてソプラノサックスを使うようになってきています。
その状態で、3.4.5.などの古い時代の曲も演奏しているというのも興味深いですね。
管楽器2人のサウンドも異常なくらい攻撃的になっています。
激しすぎるジャック・デジョネットのドラミングも良い、それにバッチリついていき、時には引っぱるデイブ・ホランドのベースも良い、壊れそうなぐらい歪んでいるチック・コリアのフェンダー・ローズも良い。
全部良いのです。
"おしゃれジャズ"が好きな人は間違ってもこのCDは買わないように。
◇Pick up!!◇
1. Directions
いきなりソロでぶっとんでいるマイルス。
こんなに吹く人だっただろうか。
ショーターもリズム隊に押されてすごい勢いでうねってます。
もう圧倒されるようなテンションでの演奏。
4. Footprints
チック・コリアのソロが最高。
歪ませているため、和音を弾いたときにギャーンとひっかかったような痛い音が鳴るのですが、そのサウンドがまた良い。
熱のこもった演奏を聴いているうちにいつも何の曲だったか忘れそうになり、後テーマを吹きはじめた所でやっとFootprintsだったことを思い出す。
5. Round About Midnight
冒頭のチックのバッキングにセンスを感じます。
ハービーとはまた少し違ったタイプの自由なハーモニーセンス。
あの有名な"キメ"はこの演奏にも入ってます。
それが今までの、どのテイクよりもかっこいい。
すごいテンションで"キメ"に突入し、高速4ビートに移るこの展開は何度聴いても鳥肌がたちますね。
Miles Davis 『Bags' Groove』 1954
オススメ度
凡人:☆☆
モンクの変態プレイが好きな人:☆☆☆
和声レベル:ハードバップ
リズムアプローチ:スウィング
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1. Bags' Groove [Take 1]
2. Bags' Groove [Take 2]
3. Airegin
4. Oleo
5. But Not for Me [Take 2]
6. Doxy
7. But Not for Me [Take 1]
Miles Davis(tp)
Sonny Rollins(ts)3.~7.
Milt Jackson(vib)1.2.
Thelonious Monk(p)1.2.
Horace Silver(p)3.~7.
Percy Heath(b)
Kenny Clarke(ds)
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1954年、プレスティッジでの録音。
モダン・ジャズ・カルテットからミルト・ジャクソン、パーシー・ヒース、ケニー・クラークの3人が参加してます。
どんな流れでこのメンバーでの録音になったのか、覚えていません。
自叙伝か何かの解説書に書いてあっただろうか。
モンクがピアノを弾いている、トラック1.と2.は12月24日にレコーディングされたもので「クリスマスセッション」、別の理由で「ケンカセッション」とも呼ばれます。
Bags' Grooveでのマイルスのソロ中は、ピアノは一切鳴っていません。
ここから、モンクの一風変わったバッキングの上ではソロをとりにくいためマイルスが怒り、弾かせなかったという逸話が生まれ、この作品も有名になりました。
しかし現在は、結局ケンカなんかしていなかったというのが定説になっています。
ソロ中コード楽器にコンピングさせないというのは、これから先マイルスが何度も使うアプローチになります。
そんな話が生まれるほど、生き生きとした演奏が聴けるCDになっています。
演奏のやりとりを聴いているだけで、メンバー同士の感情の動きが伝わってくるような。
この時このプレイヤーたちはどんな心境で演奏していたんだろう。
そんな事を考えるようになると、ジャズにどっぷりハマって行きます。
◇Pick up!!◇
2. Bags' Groove [Take 2]
ミルト・ジャクソン作曲。バグスというのは彼のあだ名です。
Take 1、Take 2のどちらを良いと思うか好みが分かれるところ。
典型的なブルース進行の中、マイルスのソロが確実に進化しているのが分かります。
語りかけるように、厳選された音で知的に吹くスタイルはこのころから確立されているようですね。
くどいくらいビ・バップのイディオムでソロをとるミルト・ジャクソンとのコントラストも楽しい。
モンクのソロは変態節が炸裂です。
5. But Not for Me [Take 2]
マイルスが好きだった、アーマッド・ジャマルがよく演奏していたスタンダード。
インテリジェンス溢れるトランペットソロ。
あらかじめいろいろ考えたものなのか、瞬間的にこんなものを思いつくのか。
プレイヤーの方はぜひコピーしてみて、コードに対してどんなアプローチをとっているのか研究してみてほしいですね。
ハード・バップらしい、キメも何箇所かで聴けます。
Miles Davis 『Miles Smiles』 1966
オススメ度
凡人:☆
笑うマイルスも好きになれる人:☆☆☆☆
和声レベル:マイルス第二期クインテット的モード
リズムアプローチ:モダンジャズ的なビートを基調とする
マイルス第二期クインテット的リズムチェンジを多用
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1. Orbits (W.Shorter)
2. Circle(M.Davis)
3. Footprints(W.Shoter)
4. Dolores(W.Shoter)
5. Freedom Jazz Dance(E.Harris)
6. Gingerbread Boy(J.Heath)
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第二期クインテットのスタジオ2作目。
ジャケットの笑っているマイルスはとても気持ち悪いです。とか言わないように。
前作E.S.Pよりも格段にパワーアップした演奏が聴けます。
ライブを繰り返すうちにつかんできたと思われる、インタープレイやリズムチェンジが作品の中に活かされています。
オリジナル曲で固めてあるため、一般のリスナーに人気がある作品ではないみたいですが、傑作中の傑作だと思ってます。
残りの2作(『Nefertiti』『Sorcerer』)における異常なほどの神秘性に比べたら、本作は明快な部分も多く、陰鬱な雰囲気は少ない感じがします。
全トラックが名曲、そして名演です。
良いと思えるまでぜひ聴き込んで欲しいアルバムですね。
◇Pick up!!◇
1. Orbits
2008年に菊地成孔ダブ・セクステットがアルバム『Dub Orbits』でカバーしました。
ウェイン・ショーターの作曲で、もうすごいスピードでモード(コード)チェンジしております。
これぞ、第二期クインテットサウンド。
3. Footprints
これもウェイン・ショーターの作曲で、現在スタンダードにもなっている名曲。
曲中でリズムを変えていく手法が効果的に使われている曲、演奏です。
6/8拍子で始まり、BPMはキープされたまま、倍テン、4ビート、アフロなど瞬間的に変化したり、戻ったり。
5. Freedom Jazz Dance
最初のテーマでのマイルスは明らかにフライングしてます。
トニー・ウイリアムスのこの時期には珍しいファンキーなドラムに注目。
Miles Davis 『Birth of the Cool 』 1950
オススメ度
凡人:☆
ギル・エヴァンスファンの人:☆☆☆☆
和声レベル:ボイシングまで緻密にアレンジされたビ・バップ
リズムアプローチ:スウィング
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1. Move
2. Jeru
3. Moon Dreams
4. Venus De Milo
5. Budo
6. Deception
7. Godchild
8. Boplicity
9. Rocker
10. Israel
11. Rouge
12. Darn That Dream
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若きマイルスが、クール・ジャズサウンドを作り上げた、歴史的に重要な一枚。
ギル・エヴァンスやジェリー・マリガンらの優れたアレンジが聴けます。
フレンチホルンやチューバも含むノネット=九重奏という変わった編成での演奏で、ジャズ初心者にとっては聴き慣れないサウンドだと思われます。
それなのに、名盤コーナーなどにどーんと置いていたりするので、所謂"普通のジャズ"が聴きたい方は買わないよう注意。
ビ・バップに憧れつつも、限界を感じていたマイルスの、アンチビ・バップ音楽。
ビッグバンドのようなお祭り騒ぎ感はない、スタイリッシュな演奏集です。
『Complete Birth Of The Cool』の方にはライブ録音も含まれているので、そちらもおすすめ。
◇Pick up!!◇
6. Deception
マイルスのオリジナル。
少しばかり凝った構成になってますね。
ソロ中にバックで鳴るホーンサウンドが楽しいです。
10. Israel
後にビル・エヴァンスが名演奏を残す楽曲。
整えられたアレンジにインテリジェンスを感じます。
絵を描いたり音のおもちゃを
つくったりしてます。
なかよくしてね。
国立音楽大学
音楽文化デザイン学科
コンピュータ音楽系 卒業
多摩美術大学 大学院
情報デザイン領域