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2008年7月19日(土)~10月13日(日)
東京オペラシティアートギャラリー
企画「トレース・エレメンツ-日豪の写真メディアにおける精神と記憶」内での展示
満足度:☆☆☆☆☆
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「LOVERS-永遠の恋人たち」
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dumbtypeの中心人物、古橋悌二のソロワーク。
CDで、作品に使われている音楽は既に何度も聴いていたので、
遠くからそれらしき音が聴こえてくると気分が高揚しました。
彼の遺作である、ヴィデオ・インスタレーション作品。
以下引用
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9m四方の暗い空間の中、等身大の裸体の男女の映像がふわりとあらわれ、壁の上をかけぬけ、立ち止まり、虚空をかき抱くように抱擁のポーズをとり、消えていく。中央に設置され、回転しつづける数台のプロジェクターによって投影される青白い、ぼんやりとしたそれらの身体は、マイブリッジの連続写真を思わせるゆっくりとしたモーションの軌跡、その動きによって霊体のような冷ややかな存在感をはなっている。
唯一古橋の体だけが観客の動きに反応して移動し、正面を向いて腕を広げ、後ろにあおむけに倒れこむように消えてゆく。他の像と異なり、その身ぶりは目前の誰かというよりは、世界をかき抱くようにゆるやかだ。ロマンティシズム、古橋が求めた冷たい官能性の表現が「走ったり、抱きしめたり」という単純な行為として神殿の壁画のように我々をとりまく。この単純なイメージの喚起力の中で、古橋は「センサーとして、コミュニケーションを投げかえす人」のシンボルとして司祭のようにあらわれる。情報化社会の中のはかない身体といった月並みなメタファーを越えて、この単純な古典的ともいえる形式の中には、古橋が到達した、確固とした人間性(ヒューマニティ)の表現があるといえよう。
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もう、ずっとここに居続けたいと思うような空間でした。
実際、もし一人で来ていたら閉館するまで居てしまったかもしれない。
投影された人間には触れることはもちろんできない。
後ろに倒れて消えていくときには喪失感とともに不思議なカタルシスも感じる。
音も映像の素材も洗練されていて、 限られたものしか使っていない。
だから人間の生々しさが際立つ。
これが死に触れた人間にしか創れない世界なのなら、その世界を見てみたいと思ったりもした。
こんな風に、圧倒的で、でもやさしく受け止められるようなそんな美しい表現をするための技術が欲しい。
そう思わせられる作品でした。
東京藝術大学 創立120周年企画
日本電子音楽の創成期
~藝大音響研究室の活動~
2008年1月4日・5日・6日
藝大音響研究室のアナログシンセサイザ展示&コンサート
東京藝術大学音楽学部 第1ホールにて
満足度:☆☆☆
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ホールに入場すると、電子音で部屋全体が包まれている状態でした。
5台もの巨大なアナログシンセサイザが公開され、自由に試奏できるようにセッティングされていました。
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・ブックラ100型
ドン・ブックラが開発した電子楽器。
実験音楽の為に開発した装置であり、白黒鍵盤は備え付けられていない。
代わりに付いているタッチ・キーボードは、ひとつひとつ自由にチューニングが可能。
音声信号はミニプラグ、制御系の信号はバナナ・プラグのケーブルで接続する。
スプリング・リバーブや16ステップのシーケンサーも搭載。
サイン波からノコギリ波に徐々に変化させられたりと、ユニークな機能もある。
・モーグIII-P
ロバート・モーグが開発。
現在のシンセサイザーの原型ともいえる機能を搭載している。
平均律で演奏できる鍵盤がついているため、楽器として様々なジャンルで活用された。
ポルタメント演奏が可能なリボンコントローラーも搭載。
冨田勲もこのシンセサイザによって数々の作品を作り上げた。
・アープ2500
発振器、フィルター、アンプなど基本システムはモーグと同様だが、接続方法が特徴的。
各セクションの入出力をマトリックス上のスイッチボードで制御する構造になっている。
ケーブルを使わずに接続をするアイデアは斬新だが、音漏れなどの問題もあった。
白黒がリバースしている鍵盤は独立しており、右側、下鍵盤とあわせて3台分のCVを出力可能。
後に登場するアープ・オデッセイの原型となった。
・ローランド・システム700
1976年にローランド社が開発した国内産シンセ。
最高峰の機能を搭載している。
発振器、フィルター、アンプ以外にもリバーブ、ディレイ、フェイズ・シフター等のエフェクターも完備。
外部入力をコントロール信号に変えるインターフェイスも加えられている。
各入出力はフォーン端子のケーブルで接続する。
中央にある巨大なシーケンサでは、3チャンネル、12ステップの設定が可能。
・ローランド・システム100M
システム700をコンパクトにしたもので、最も普及したモジュラー・シンセ。
発振器、フィルター、アンプなど、各機能がボックス型のユニットにまとまっている。
そのため、ユーザーが自由にチョイスしてシステムを組むことが可能。
他のシンセと比べ、非常に動作が安定している。
入出力はミニ端子のケーブルによる。
多くの教育機関で音作りを学ぶ教材として活躍しているシンセサイザ。
他にも、アナログシンセの基盤や、楽譜なども展示されていた。
写真はカールハインツ・シュトックハウゼン作曲の「Study II」の楽譜。
上段に音程が周波数で、下段にアンプリチュードがdbでそれぞれ示されている。
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コンサートでは、展示されていたシンセサイザを用いて作曲された新作を何曲か演奏。
作曲者自らシンセサイザを操作し、それぞれ斬新な解釈で曲中に電子音を奏でていました。
最後には、楽譜の展示もされていたシュトックハウゼンの作品がアナログテープにより再生。
絵を描いたり音のおもちゃを
つくったりしてます。
なかよくしてね。
国立音楽大学
音楽文化デザイン学科
コンピュータ音楽系 卒業
多摩美術大学 大学院
情報デザイン領域