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東京都庭園美術館『イタリアの印象派 マッキアイオーリ展』 2010

2010年1月16日(土)~3月14日(日)
東京都庭園美術館


満足度:☆☆☆

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フランチェスコ・ジョーリ「水運びの娘」 1891
ほか

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「マッキアイオーリ」という言葉を聞いたことがない方も多いのではないでしょうか。
画家の名前ではなく、イタリアで起きた芸術運動の一つを指します。
マッキアとはイタリア語で斑点の意味。斑点を用いて色彩やコントラストを表現したこの技法は、印象派とも深い関係があります。

過去にはあまりとりあげられることのなかったジャンルなので、どこかで見たことのある気がする有名絵画というのはありません。新鮮な気持ちで見られる展覧会だと思います。



今回はじめて庭園美術館に足を運んだのですが、美術館の内装、美術館を取り囲む庭園、それぞれ楽しめました。
庭園の中をぐるっと散歩するだけでもたくさんの植物や彫刻作品が見られます。庭園のみの入場はとても安価。
建物は美しいアール・デコ様式で、内装を見てまわるだけでも楽しい。雰囲気を壊さない為に若干照明は暗めなので、絵画本来の発色は見にくいかもしれません。
年に一度、建物自体の展示もしているとのこと。







池田亮司『+/ー[the infinite between 0 and 1]』 2009

2009年4月2日(木)~6月21日(日)
東京都現代美術館
企画展示室1F、B2F


満足度:☆☆☆☆☆

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the transcendental (π) [n°1-a](ザ トランセンデンタル) 2009
data.matrix [n°1-10](データ・マトリックス) 2006-9
data.tron [3 SXGA+ version](データ・トロン) 2007-9
data.film [n°1-a](データ・フィルム) 2007
the transcendental (e) [n°2-a](ザ トランセンデンタル) 2009
the transcendental (e) [n°2-b] 2009
the irreducible [n°1-10](ジ イリデュシブル)2009
matrix [5ch version](マトリックス)2009


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世界からも注目されている電子音楽作曲家、池田亮司の展覧会。
大規模な映像インスタレーションを中心に展示。


東京都現代美術館へは、清澄白河駅から徒歩で10分ほど。
アクセス的には不便な場所にありますが、丁寧に看板が何カ所にも設置されているので迷うことはないと思います。
町並みを楽しみながらゆっくり散歩するのも良いのではないかと。


池田亮司氏の音楽は、dumbtypeでの活動、ソロワークともに個人的に大好きで良く聴いていたので、今回の展覧会はとても楽しみでした。



部屋に入った瞬間、がらりと空気が変わるのを感じた。

離れて見ていると、テレビ画面の砂嵐のような模様。
何だろうと思って近づいてみると、ものすごい量の数字の羅列が。
しかも、顔をぎりぎりまで近づけないと見えない程の緻密さ。

現代美術の中には「大きければ、それだけでアート!」なんていう安いコンセプトが感じられてしまう作品も時にはあるけれど、彼の作品にはそんな部分は微塵もありません。

数学の美しさをどのように提示するか、そのイメージが明確に定まっていて、ふさわしい量、大きさ、緻密さが全てコントロールされている印象を受けました。

映像インスタレーションも美しく、何十分も観続けるお客さんもいたようです。

今回の目玉(?)は最深部に設置されている、超指向性スピーカーを使った作品。
5つのスピーカーから、ミニマルな音波が再生され続けていたようです。
指向性が極端なので、ポジションによって聴こえる音は全く別のものになります。
おそらく、スピーカーの前に人が立つだけでも聴こえ方が大きく変わると思われます。
絶え間なく体験者は移動しているので、その度に音響が変化していく、不思議な体験をすることができました。


今回の展示に合わせてショップなどで売られているカタログは、オススメです。
少々、値は張りますが。
興味深い対談が、結構なボリュームで掲載されています。
彼の思考を覗いてみたい方は、ぜひチェックしてみてください。




以下、レビューではなく、勉強メモ。

形を表す言葉
Shape シェイプ
ある特定の個別的な形を指す
Form フォーム
広義の形体や形状、造形の概念。美術では慣習的に独語のフォルムを使う。

Figure フィギュア
造形心理学(ゲシュタルト心理学)における形の知覚としての図形
Model モデル
Style スタイル
様式や型という時代的推移を伴った形の概念を表す
Pattern パターン
図案や模様の形
Appearance アピアランス
人の見かけや風采
Type タイプ
書体の形、血液型、生物の形などに使用

Mold モールド


形体の基本的な分け方
・抽象形体(Abstract Form)・・・理念的な形や幾何学形体
・具象形体(Concrete Form)・・・人物、生物や自然の風景など実際に目に見える具体的な形

20世紀初頭まで、美の概念は写実であった。
写実主義(リアリズム)が美術の世界を完全に支配。

キュビズム(立体派)のピカソ以降、抽象の流れに。

形体を定量化によって分類
・定形(Regular Form)・・・幾何学形体など数理的で定量化できる形体。再現可能
・非定形(Irregular Form)・・・オーガニック形体、アクシデント形体、オートマチック・パターンなど数理性を持たず定量化できない形。再現不可

オーガニック形体(Organic Shape あるいは Organic Form)
日本語では有機的形体という
Organicとは生物の器官のこと、生命体を意味する
自然の摂理が必然的に滑らかで無駄のないオーガニック形体を生む
バイオリン・琵琶等の弦楽器、壷、スプーン、ナイフ等の生活雑器、椅子や家具、流線型の車、飛行機など、機能を追求すると必然的に有機的形体となっていく

※オーガニック形体は自然界の摂理によって必然的につくられた形体ゆえに、無駄な箇所がなく、流れるような美しい曲線で囲まれているという造形的な特徴をもっている。これを人間が人為的に作ると、不連続な曲線が生じたり、不自然な形体になりがちである。



人間の「描く」「つくる」という表現行為は、先史時代から存在
何か形にして残したいという願望の代償行為であり、描かれたものに対する所有権のシンボルでもあり、自然の形の形象化であった

産業革命
ウイリアム・モリス
ゼセッション
ヘルマン・ムテジウス
DWB(ドイツ工作連盟)
ペーター・ベーレンス
アール・ヌーヴォー
バウハウス
グロピウス
ファン・デ・ローエ
アールデコ


カンディンスキー 表現主義的象徴
→アクション・ペインティング
モンドリアン 幾何学的象徴
→オプチカル・アート、ミニマル・アート、ハード・エッジ
複雑系とは


複雑系(Complex System)

システム(System)・・・ある共通の目的のために行動する互いに関連する構成要素の集合

・自然システム(Natural System)
・人工システム(Artificial System)

人間を含む生物や、太陽系等は自然システム。
自然界の法則に従って機能している。物理学等では、このシステムを人間の観点で解釈することになる。

人間が構築した理論や機械は人工システム。
人間がある目的のために人為的に構築したシステム。
コンピュータも人間が使う人工システムであるが、情報処理を行うシステムという意味で、情報システム(Infomation System)ともいわれる。


一般的に複雑系は、次の性質をもつシステムと考えられる。
・非決定性(non-determinism)
・非従順性(non-tractability)
・分散性(distributivity)
・自己組織化(self-organization)
・創発(emergence)

・非決定性
システムの振る舞いが決定的ではなく、過去の情報からは一意に定まらないことを意味する。なので、微分方程式や線形方程式では複雑系のモデルを構築することは不可能。すなわち複雑系は非線形システム(non-linear System)

・非従順性
個々の構成要素を把握していたとしても全体の性質を完全に把握することができないという性質。すなわち全体の機能は、構成要素の機能からは記述することができない。

・分散性
複雑系における情報と表現が分散的だということ。

・創発
ある階層が別の階層に還元不能であるという性質。
個々の構成要素から全体を形成することはできない。

・自己組織化
自立的に外部からの制御なしに組織や構造等を生成する性質。
生物は自己組織化の顕著な例。生物はDNAから新しい組織を作り出している。


複雑系の歴史

複雑系の概念は19世紀後半から20世紀初頭のフランスの数学者ポアンカレ(Poincare)の研究よりはじまったとされる。
1887年にスウェーデン国王が提起した懸賞問題「三体問題」(Three body problem)について、ポアンカレは3個以上の運動の方程式を見つけることが不可能であることを証明した。すなわち、太陽系の運動の方程式は非線形であり、カオスになる可能性がある、複雑系であることを示した。

1940年代にはフォン・ノイマンが「セル・オートマトン」を提案した。
自己増殖オートマトンとも呼ばれ、格子状のセルと単純な規則に基づいた計算モデルであり、生物の自己組織化にヒントを得たもの。

1960年代には非線形な現象を扱うための理論、今日でいうところの「ニュートラル・ネットワーク」(neutral network)が研究されている。人間の神経回路を模倣した計算モデルと解釈することができる。
ミンスキーは「パーセプトロン」(perceptorn)といわれるモデルを提案したが、当時の人工知能の分野では評価されなかった。

「カオス」の現代的な研究は、1963にローレンツが始めたとされる。
天気予報の予測不明性の証明のために、3変数の微分方程式を用い、カオスの奇妙な振る舞いを発見した。そのカオスは、「ローレンツ・カオス」と呼ばれる。

1971年には、ルーレとターケンスが、複雑系において、「ストレンジ・アトラクタ」といわれるカオスが発生することを理論的に展開した。
1978年にファイゲンアウムは、周期倍分岐がカオスに至る重要な性質であることをしましている。
これらの研究は、当初学術的には認められなかったが、「カオス理論」は1970年代半ばまでには、科学の一部門として認識されるようになった。

「フラクタル」はフランスの数学者マンデルブローが1975年に提唱。
自己相似性を持つ幾何学的概念である。
フラクタル図形を数学的に展開した幾何学は、「フラクタル幾何学」をいわれる。
「コッホ曲線」「マンデルブロー集合」「ジュリア集合」など。


複雑系は還元主義(reducationism)を否定するシステムである。
還元主義とは、1637年にデカルトの「方法論序説」で提唱された、複雑なものは構成要素の一部から全体を理解できるという哲学的主張である。

複雑系ではミクロな動きがマクロな動きを起こすことを実証している。
→「バタフライ効果」

複雑系における自己組織化は、生命の新たな解釈についての議論を生み出した。人間や社会も複雑系であると考えられる。
しかし、自然システムだけでなく、人工システムも自己組織化は可能である。
「セル・オートマトン」は自己組織化の代表例であるが、「ニューラル・ネットワーク」や「遺伝的アルゴリズム」なども自己組織化が可能なシステムである。
これらの事実は、「人工生命」の研究の鍵になると考えられている。



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