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ビューレント・アータレイ『モナ・リザと数学-ダ・ヴィンチの芸術と科学』


自然界や美しい美術の中に隠されている、数学的な法則について様々な方向から読むことが出来ます。
日本語訳もなかなか読み易い。
フィボナッチ数、黄金比などは、この手の文献を読んだことのある人にはおなじみですが、本書では、レオナルド・ダ・ヴィンチが用いていた技法を中心に書かれているので、新鮮に読めると思います。

ダ・ヴィンチ好きにはもちろんおすすめ。



三井 秀樹『美の構成学—バウハウスからフラクタルまで』


美術を学んでいる人間は必読、現代アート(音楽も含む)に携わっている方にもオススメ。
産業革命〜バウハウスまでの構成学についての歴史、構成学についての基礎知識、後半には新しいテクノロジーと構成学の関係についても触れています。

21世紀の芸術には、構成学の知識はおそらく必須でしょう。

この本ではとても親切に書かれているので、初めて構成学を勉強する方でも読み易いと思います。
ただし、造形や色彩などを専門に勉強したことのある人には退屈な章もあるかもしれません。

個人的には、バウハウスの歴史や教育課程を知ることができたのが良かったですね。

 デザインとバウハウス

 

 

18世紀 産業革命

イギリスに始まり、ヨーロッパへ広がる

蒸気機関の発明、職人の熟練労働を奪う。

1830年頃よりイギリスでは、日常使うほとんどの生活用品が工場生産に。

→品質は粗悪だったため、特権階級の人々は優美な手作り品を愛用し続けた。

 

ウイリアム・モリス・・・近代デザインの父

1880年、工場生産によるものづくりを改めようと、アーツ・アンド・クラフツ運動をおこす。

工業の芸術化。新しい時代の造形美。

・建築、家具、調度品、壁紙、ステンドグラスetc…

 

 

19世紀末 アール・ヌーボー

パリを中心に展開。無機質な工業製品への反発、写真術出現によるリアリティの回避。

植物的曲線を用いた建築、家具、ガラス製品、工芸、ポスター、イラストレーションetc…

アントニオ・ガウディの建築

アルフォンス・ミュシャのグラフィックデザイン

ティファニーの宝飾

ウイーンでは芸術家グループゼセッション(ゼツェッション)が活動。

→機械生産を前提とした幾何学形態を活かす。(後にアール・デコバウハウスに影響を与える)

イギリスではグラスゴー派マッキントッシュが活躍した。

 

 

1907年 DWB ドイツ工作連盟設立

ヘルマン・ムテジウスペーター・ベーレンスによるアーツ・アンド・インダストリー運動。

工業化社会を受け止め、機械生産による機能と造形美を追求。

→機能主義とデザインコンセプトを取り入れた製品づくりの誕生。

工業生産の規格化(現在JIS規格の原型)によるコスト削減、品質・生産性の向上

デザインの概念を確立

 

ボルトやナットなど小さなパーツから住宅まで基準を設け、部材の単位を決める。

→全体との比率の重要性に気付き、新しい造形学の必要性が発生。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1919年 国立バウハウス

世界初のデザイン教育機関。

DWBメンバーでもあるワルター・グロピウスが設立。

美術、建築、工業、手工業、工芸など造形の原理・理論の実習を通じ、芸術と技術とを統合することを信念とした。

ヨハネス・イッテンは予備過程を受け持ち、独自の造形論、色彩論を展開。

 

1925年 市立バウハウス

校舎はデッサウに移る。校舎設計はグロピウス。

グロピウスの建築は世界に大きな影響を与えた。

国際様式(インターナショナルスタイル)として建築の近代主義(モダニズム)の基盤を形成。

 

新教授陣も新しいデザインを試みる。

マルセル・ブロイヤー・・・金属パイプの椅子

マリアンネ・ブラント・・・電気スタンド

オスカー・シュレンマー・・・舞台芸術

ハーバート・バイヤー・・・タイポグラフィ、グラフィックデザイン

モホリ・ナギ・・・写真実験、光の造形

 

カンディンスキーパウル・クレーココシュカら画家も教授陣に加わる。

 

近代建築の巨匠ル・コルビュジェはバウハウスの教育方針に賛同。

近代国際会議(CIAMにグロピウスとともに参加。

 

1928年、グロピウスはバウハウスを去り、学長はハンネス・マイヤーに。

しかしマイヤーは1930年に解雇。ミース・ファン・デル・ローエが3代目学長に。

ワルター・グロピウス、ル・コルビュジェ、ミース・ファン・デル・ローエの3人はともにベルリンの建築家でありDWBにも参加していたペーター・ベーレンスの下で働いていた時期がある。

 

1932年 私立バウハウス

ナチスの弾圧によりベルリンへ校舎を移す。

 

1933年 バウハウス閉鎖

更なる弾圧に耐えきれず、閉鎖。

 数と自然と芸術

 

『科学なしで実践にふけるものは、舵や羅針盤なしで船をあやつろうとする船乗りのようなものだ。』

レオナルド・ダ・ヴィンチ

フィボナッチ数列

F = 0、 F = 1

Fn+2 = Fn + Fn+1 (n0)

0、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89,144,233・・・

 

自然界の多くの場所に現れる。

葉序 花の花弁、茎につく葉、樹木の枝などの配置

ポプラの枝が出る角度

バラの木のとげの間隔

ヒマワリの種

ミツバチの数

パイナップル

松ぼっくり

 

※隣り合うフィボナッチ数列の比は黄金比φに収束する。

 

φ(ファイ)黄金比 神聖比率

(1+√5)/2 = φ

近似値1.618

DNA・・・二重らせん構造。一周期の幅と長さの比率はφ。

人間の体のたくさんの部分に比率φを発見できる。

紀元前1世紀 ウィトルウィウス

人体の比率をヒントに建築理論をまとめる。『建築十書

1511年 ルネッサンスによる古代復興

レオナルド・ダ・ヴィンチ 『建築十書』の新しい版の挿絵を描く。

 

現在、名札、トランプ、はがき、クレジットカードなどの縦横比にも利用されている。

 

・ブラマンテ、ル・コルビュジェの建築

・モーツァルト、バルトーク、ギョーム・デュファイの音楽

エジプトのピラミッド

パルテノン神殿

多くの絵画作品

 

ル・コルビュジェは人体の寸法と黄金比を調和させるモジュロールを考案。

 

白銀比とは1:√2のこと。用紙サイズ(A判、B判など)にも使われ、日本建築の基準にもなっている。

 

フラクタル

1975年、ブノワ・マンデルブロが考案した幾何学の概念。図形の全体と部分とが自己相似になっているもの。

黄金比と密接な関係がある。

無限の構造を持つため、自然界の様々な場所に見られる。

・雪の結晶、海岸線、植物、血管、脳細胞、病原菌など

黄金比で作られた長方形から対数らせんと呼ばれるフラクタル図形が作られる。

オウムガイ、ハリケーン、渦巻き星雲

レオナルド・ダ・ヴィンチ設計 ヴァチカン美術館の階段

 

「そう、自然主義者は観察している。1匹のノミの背中には、彼よりも小さなノミが何匹も乗ってお祈りをしている、その何匹ものノミの背中にはさらに小さなノミが乗っていて彼らに噛み付いてくる。そして以下同様、それが無限に続くということを。」18世紀イギリスの風刺家ジョナサン・スウィフト

 

世界は、あらゆるものが絶えず変化し、小さなスケールから大きなスケールへ、、そしてまた小さなスケールへとフィードバックを繰り返すことで成り立ち、生命はこの原理に基づいて生み出されてくる。

 

近年、フラクタルなオブジェクトの計算によって生まれる画像、数字は新たな芸術の素材として利用されている。

フラクタルアート

 

カオス 複雑系

非線形系。ある条件のもとでは秩序正しく周期的にふるまうものの、予測不可能。

単純な数式から、ランダムにも見える複雑なふるまいが発生する。

初期値のわずかなずれが時間の経過とともに巨大なずれへと変わる。(バタフライエフェクト

 

雲、大気の動きや、人口増加量、経済などもカオス的なふるまいを示す。

 

 

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