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リズムシたちの制作日記やつぶやきなどなど。など。
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Herbie Hancock 『Future Shock』 1983

オススメ度
凡人:☆☆
スクラッチ好き人間:☆☆☆

和声レベル:ポップス
リズムアプローチ:エレクトリックドラムによる、ディスコ、ヒップホップの原型的リズム

*********

1. Rockit 
2. Future Shock 
3. TFS 
4. Earth Beat 
5. Autodrive 
6. Rough 
7. Rockit [Mega Mix][*] 

*********

ハービー・ハンコックが1983年に完成させた、非ジャズアルバム。
大ヒットした「Rockit」も収録されています。
このヒットによって、スクラッチサウンドが浸透したんではないかと。
エンターテインメントに徹しているハービーが見ものです。
プロデューサーでもある、ベーシストのビル・ラズヴェルについては詳しく知らないのですが、後に坂本龍一やその周辺人物ともコラボレーションしているみたいですね。

アルバム自体は何ともいえない出来です。
スクラッチの導入やたくさんのシンセサウンドなど、新しいアプローチはたくさん見られるけれど、"ハービー・ハンコックの音"というのがあまり感じられません。
器用すぎるが故の欠点でしょうか。

ジャズミュージシャンがこういったアルバムを作ったことは評価できると思います。
ライブなどでは、ハービーがジャズのイディオムを使ってソロを思いっきりとる事もあるわけですが、ダンス・ミュージックを聴いている客がジャズのソロもノリノリで聴くという図式が出来上がります。
これは、この頃から少しずつ盛り上がっていくクラブジャズムーブメントとも関連してくると思われますね。

◇Pick up!!◇
2. Future Shock 
女性ボーカルをフィーチャーしたトラック。
薄く聴こえる、ハービーのクラビネットによるバッキングが何気にかっこいいです。



Miles Davis 『The Early Years, Vol. 1: 1945-1947』

オススメ度
凡人:☆☆
マイルスマニア:☆☆☆☆

和声レベル:ビバップ
リズムアプローチ:アップビートのシンプルなスウィング

*********

Disc1 
1. That's the Stuff You Got to Watch 
2. Pointless Mama Blues 
3. Deep Blue Sea 
4. Bring It on Home 
5. Billie's Bounce 
6. Now's the Time 
7. Thriving on a Riff 
8. Moose the Mooche 
9. Yardbird Suite 
10. Ornithology 
11. Night in Tunisia 
12. Melodrama in a V-Disc Record Room (Jump Call) [Live] 
13. I Can't Get Started [Live] 
14. Oo Bop Sh'bam 
15. I Love the Loveliness of You 
16. In the Still of the Night 
17. Jelly, Jelly 
18. My Silent Love 
19. Time on My Hands 
20. All the Things You Are 
21. In a Sentimental Mood 
22. Don't Sing Me the Blues [#] 
23. Don't Explain to Me Baby [#] 
24. Baby Won't You Make Up Your Mind [#] 
25. I've Got the Blues [#] 

Disc2
1. For Europeans Only 
2. Bird Dog 
3. You Left Me All Alone 
4. Jivin' With Jack the Bellboy 
5. Donna Lee 
6. Chasin' the Bird 
7. Cheryl 
8. Buzzy 
9. Bean-A-Re-Bop 
10. Isn't It Romantic? 
11. Way You Look Tonite 
12. Phantomesque 
13. Milestones 
14. Little Willie Leaps 
15. Half Nelson 
16. Sippin' at Bells 
17. Dexterity 
18. Bongo Bop 
19. Dewey Square 
20. Hymn (Superman) 
21. Bird of Paradise 
22. Embraceable You 
23. Bird Feathers 
24. Klact-Oveeseds-Tene 
25. Scrapple from the Apple (Little Be-Bop)

*********

マイルス・デイヴィス、最初期の録音集です。
公式盤ではないのかな?分かりませんが、比較的手に入りやすいもののようです。
この頃の録音集では他に『First Miles』が有名ですが、本作は色々時期、グループの演奏がまとめて入っているので楽しめます。
40’の空気が伝わってきますね。録音もクリアで聴きやすい。

まだまだひよっこのマイルスの演奏がおもしろい。
でも、単に演奏がヘタなのか、何か深い考えの基に演奏しているのかなんとも分からないのですよね。
パーカーがもろにビ・バップ的なコード分解フレーズを吹いているのに対し、マイルスはこの時期から既に少しだけモード的なアプローチをしているように感じます。
バップチューンよりもブルースで顕著にあらわれているのですが。
モードという考え方で演奏しているわけではないのでしょうが、他のバップミュージシャンとは明らかに強調している音程が違います。

チャーリー・パーカーグループでの演奏の他に、ビッグ・バンドに参加しているマイルスも聴けます。
この時代のビリー・エクスタインの歌唱が聴けるのは嬉しいですね。

ジャズ史を勉強している人や、マイルスの自叙伝を読み始めた人なんかは聴くと参考になると思います。

◇Pick up!!◇

Disc1
6. Now's the Time
パーカーの有名なブルースチューン。
マイルスのソロは、個人的にはかっこいいと思うのですが、当時の観客にどんな評価をされていたのか心配になりますね。そんなことを言ったら失礼でしょうか。
理知的ではあるけれど、周りのバップミュージシャンに比べて明らかに華やかではない演奏を、堂々と続けたのはすごい事であると思います。
ソロ中の#11を強調したフレーズは、この時代には新しいですね。

Disc2
5. Donna Lee 
作曲:チャーリー・パーカー。
これは嘘ですね。
これでもか、というくらいバップがバップである要素が詰め込まれた曲です。
パーカーが、ここまで濃密な曲を作るとは思えません。
マイルスの「バップってこんな風にできているんだろ?」という解釈の結果がこの曲であるように思います。
弟子の曲を自分名義にしてしまうという技は、後にマイルスも受け継ぐわけです。

15. Half Nelson 
マイルスのオリジナル曲なのですが、いまいちパッとしません。
やはりバップでは彼のやりたいことは表現できない、ということでしょう。



Miles Davis 『Nefertiti』 1967

オススメ度
凡人:☆
ジャズマニア:☆☆☆☆☆

和声レベル:マイルス第二期クインテット的モード
リズムアプローチ:モダンジャズ的なビートを基調とする
            マイルス第二期クインテット的リズムチェンジを多用

*********

1. Nefertiti (W. Shorter)
2. Fall (W. Shorter) 
3. Hand Jive (T.Williams)
4. Madness (H. Hancock)
5. Riot (H. Hancock)
6. Pinocchio (W. Shorter)
7. Hand Jive [First Alternate Take][*] 
8. Hand Jive [Second Alternate Take][*] 
9. Madness [Alternate Take][*] 
10. Pinocchio [Alternate Take][*]

Miles Davis (tp)
Wayne Shorter (ts)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)

*********

第二期クインテットスタジオ4部作の最後の一枚。
「Sorcerer」とはジャケットや曲調など共通点が多く、双生児アルバムと言ったり言わなかったり。
アコースティックジャズのスタジオアルバムでは最上級のものだと思っています。
無調音楽に近づいた、ケーデンスのない和音進行。
各メンバー達はどこまで分かって演奏しているのか、どこまで考えて演奏しているのか、実はでたらめに演奏しているのか、判別できそうでまったくできない。
でも不思議なほど理知的な美しさが醸し出されている、なんともいえないアルバムです。

モードを使っての音列的なアプローチは、ここが頂点なのでしょう。
この作品以降、マイルスはロックのリズムや電気楽器への興味を強くしていきます。
ジャズ初心者は間違っても聴いてはいけません。

◇Pick up!!◇
1. Nefertiti
名曲です。
どこか異国風でもある洗練されたメロディライン。
作曲はウェイン・ショーターによるものです。
なんと、フロントマン二人はテーマを吹き続け、ソロをとりません。
少しずつ、徐々に熱くなっていくリズム隊の演奏を楽しむことになります。
リハーサルでテーマを繰り返し吹いて練習しているテイクだ、という噂も流れましたが・・・

2. Fall
名曲が続きます。
これもショーター作曲。ゆったりバラード。
この雰囲気には中毒性があります。
ハービーの禁欲的な弾きすぎずにハーモニーを聴かせる感じのソロが良いですね。
Nefertitiと同じくたった16小節のループ。
それだけで、これ程の音楽を作り出す能力がこのバンドにはありました。

6. Pinocchio
第二期クインテットの雰囲気が濃縮されたような曲。
コード進行をアナライズするとしたら、全てが「転調」でしょうか。
そうとしか分析できません。
しかし、リズム面では所謂普通の4ビートジャズであるという、おかしな曲でもあります。
遠くからぼんやり聴こえてきたら、普通のジャズナンバーに聴こえるのではないかと思います。




Miles Davis『E.S.P』 1965


オススメ度
凡人:☆
ジャズマニア:☆☆☆☆

和声レベル:マイルス第二期クインテット的モード
リズムアプローチ:モダンジャズ的なビートを基調とする
            マイルス第二期クインテット的リズムチェンジを多用

*********

1.E.S.P. (M. Davis)
2.Eighty-One (R. Carter)
3.Little One (H. Hancock)
4.R.J. (R. Carter) 
5.Agitation (M. Davis)
6.Iris (W. Shorter)
7.Mood (R. Carter)

Miles Davis (tp)
Wayne Shorter (ts)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)

*********

ウェイン・ショーター加入後の初のスタジオ録音盤です。
後に発表する「Miles Smiles」「Sorserer」「Nefertiti」とあわせて、第二期クインテットスタジオ4部作とくくられるようことが多いようですね。
各メンバーの作曲したオリジナル曲が光ってます。モード以前のツーファイブ的進行はほとんどない、この時代のサウンドに適した曲ばかり。
表題曲であるE.S.P. の作曲はマイルス名義になっているけれど、実際に作ったのはウェイン・ショーターであった気がする。
所謂普通のジャズを聴きたい人にはあまりおすすめできないけれど、この音楽的な完成度の高さは一聴の価値ありです。

◇Pick up!!◇
1.E.S.P.
第二期クインテットによる新しいサウンドの幕開けを象徴するような楽曲。
ウェイン・ショーターに先にソロを取らせています。
新メンバーにハイライトを譲ったのか?と思いきや、この後マイルスは吹きまくります。
めずらしく高音も使い、高速フレーズを吹きまくります。吹きまくります。

2.Eighty-One
ロン・カーター作曲による、おそらく初めてマイルスバンドに8ビートを取り入れた作品。
このビートの起用は誰の提案によるものかは分かりませんが、マイルスバンドでこのビートが使われることは、
後に重要な意味を持ってきます。
モードの響きを使っているものの、基本構造はシンプルな12小節ブルース。
ロン・カーターはシンコペーションを多用した躍動感のあるベース・パターンをメインに演奏しています。
曲中での4ビートへチェンジする部分もかっこ良い。

6.Iris
ウェイン・ショーター作曲、ゆったりとした3拍子の曲。
浮遊感のある美しいメロディとハーモニー。
こういった雰囲気を出すために積極的に#11の音が使われているようですね。
メジャーコードはリディアン化、7thコードもほとんど#11を含んだボイシング、スケールを用いて演奏されているように思います。
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