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Miles Davis 『Four & More』 1964
オススメ度
凡人:☆☆
メタルより速い音楽が聴きたい人:☆☆☆☆
和声レベル:ハードバップ~モード
リズムアプローチ:ダウンビートのスウィング
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1. So What
2. Walkin'
3. Joshua
4. Go-Go (Theme and Announcement)
5. Four
6. Seven Steps to Heaven
7. There Is No Greater Love
8. Go-Go (Theme and Announcement)
Miles Davis(tp)
George Coleman(ts)
Herbie Hancock(p)
Ron Carter(b)
Tony Williams(ds)
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こんなにスピード感のあるアルバムが他にあるでしょうか。
エンジン全開のトニー・ウイリアムスのドラムに、全員が絶妙のバランス感覚で振り落とされずに、各々のやりたい事を全力で表現している、そんな音楽。
CDをかけたら最後まで、落ち着ける所はありません。もう一歩で崩れてしまいそうなものすごい緊張感。
マイルスのアコースティックなライブアルバムではこれが一番、という人も多いみたいですね。
ウェイン・ショーターは加入前。ジョージ・コールマンという、いろいろと評判の悪い(といったら失礼か。)サックス奏者が吹いています。
このアルバムについて語るとき、「やっぱりジョージ・コールマンは駄目だ」という人と、「いや、悪くないんじゃないか。このアルバムにはジョージ・コールマンがふさわしかった」という派に分かれると思います。
後にハービーは、「最初はトニーのドラム、ロン・カーターのベースについていくのに必死だった」みたいな事を何かのインタビューで語っていましたが、この頃の演奏ではむしろハービーがたくさんの仕掛けを出しているように聴こえます。
それに気持ち悪いぐらいの瞬発力で反応する2人。
どうなっているんでしょう、この人たちは。
◇Pick up!!◇
1. So What
最初の録音に比べて、ものすごいテンポが速くなってます。
そしてテーマのベースラインを簡略化してます。
このテンポではこちらの方が、かっこいいと思ったのか、このテンポでは弾けなかったのかどちらでしょうか。
最初から全力投球のマイルスも、リズム隊3人の異常なくらいのコンビネーションも必聴。
6. Seven Steps to Heaven
バンドのカラーに合わないと判断したのか、この演奏以降ほとんどCDには収録されていません。
若きトニー・ウイリアムスの瞬速ドラミングは、聴いていてもう笑いすらこみ上げてきます。
7. There Is No Greater Love
ミドルテンポでの演奏。
ハービー・ハンコックのソロの後半、どちらかというとコーダルなアプローチによるスケールアウトは何だか幾何学的な美しさを感じます。
オススメ度
凡人:☆☆☆
マイルスの"歌"が聴きたい人:☆☆☆☆
和声レベル:ハードバップ
リズムアプローチ:スウィング
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1. My Funny Valentine
2. Blues by Five
3. Airegin
4. Tune Up/When the Lights Are Low
Miles Davis(tp)
John Coltrane(ts)
Red Garland(p)
Paul Chambers(b)
Philly Joe Jones(ds)
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プレスティッジでのマラソン・セッションと呼ばれる4部作の中の一枚。
2日間のレコーディングで4枚の傑作を作り上げたことは伝説となっていますね。
その2日間は連続した2日ではなく、実は5ヶ月以上あいています。1956年5月11日と10月26日。
本作は10月26日でのセッションの録音だけを集めたものになっていて、4部作の別の作品よりも全体的にまとまりが感じられます。
マイルスが、トランペットの歌うようなトーンを完全に確立しているのに比べて、ジョン・コルトレーンはまだ自分の演奏を模索しているような印象を受けます。(でもこれが妙に耳に残る。)
1. My Funny Valentineの人気が高くて、たくさんの人に愛されている名盤です。
ジャズらしいジャズを聴きたい方にも迷わずおすすめできる一枚。
◇Pick up!!◇
1. My Funny Valentine
レッド・ガーランドのコロコロ転がるピアノによる、綺麗なイントロから始まります。
フランク・シナトラのようにトランペットで歌い上げるマイルスのこの演奏は唯一無二のものですね。
オススメ度
凡人:☆
ロストクインテットファンな人:☆☆☆☆☆
和声レベル:マイルス的モード
音の歪みによりさらにフリーハーモニー化が進む
リズムアプローチ:ロック、ファンクを取り入れたスウィング
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1. Directions
2. Miles Runs The Voodoo Down
3. Milestones
4. Footprints
5. Round About Midnight
6. It's About That Time
7. Sanctuary~The Theme
Miles Davis(tp)
Wayne Shorter(ss,ts)
Chick Corea(elp)
Dave Holland(b,elb)
Jack Dejohnette(ds)
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あまりにも凄まじいアルバムです。
メンバーはロストクインテットと呼ばれる、第二期クインテットからウェイン・ショター以外の3人がメンバーチェンジしたものです。
この編成で録音しているアルバムは少ないため、知名度は低いのですが、ものすごい演奏をしていたことがこのCDを聴けば分かると思います。
楽器の電化が進み、ウェイン・ショーターもそれに合わせてソプラノサックスを使うようになってきています。
その状態で、3.4.5.などの古い時代の曲も演奏しているというのも興味深いですね。
管楽器2人のサウンドも異常なくらい攻撃的になっています。
激しすぎるジャック・デジョネットのドラミングも良い、それにバッチリついていき、時には引っぱるデイブ・ホランドのベースも良い、壊れそうなぐらい歪んでいるチック・コリアのフェンダー・ローズも良い。
全部良いのです。
"おしゃれジャズ"が好きな人は間違ってもこのCDは買わないように。
◇Pick up!!◇
1. Directions
いきなりソロでぶっとんでいるマイルス。
こんなに吹く人だっただろうか。
ショーターもリズム隊に押されてすごい勢いでうねってます。
もう圧倒されるようなテンションでの演奏。
4. Footprints
チック・コリアのソロが最高。
歪ませているため、和音を弾いたときにギャーンとひっかかったような痛い音が鳴るのですが、そのサウンドがまた良い。
熱のこもった演奏を聴いているうちにいつも何の曲だったか忘れそうになり、後テーマを吹きはじめた所でやっとFootprintsだったことを思い出す。
5. Round About Midnight
冒頭のチックのバッキングにセンスを感じます。
ハービーとはまた少し違ったタイプの自由なハーモニーセンス。
あの有名な"キメ"はこの演奏にも入ってます。
それが今までの、どのテイクよりもかっこいい。
すごいテンションで"キメ"に突入し、高速4ビートに移るこの展開は何度聴いても鳥肌がたちますね。
Miles Davis 『Bags' Groove』 1954
オススメ度
凡人:☆☆
モンクの変態プレイが好きな人:☆☆☆
和声レベル:ハードバップ
リズムアプローチ:スウィング
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1. Bags' Groove [Take 1]
2. Bags' Groove [Take 2]
3. Airegin
4. Oleo
5. But Not for Me [Take 2]
6. Doxy
7. But Not for Me [Take 1]
Miles Davis(tp)
Sonny Rollins(ts)3.~7.
Milt Jackson(vib)1.2.
Thelonious Monk(p)1.2.
Horace Silver(p)3.~7.
Percy Heath(b)
Kenny Clarke(ds)
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1954年、プレスティッジでの録音。
モダン・ジャズ・カルテットからミルト・ジャクソン、パーシー・ヒース、ケニー・クラークの3人が参加してます。
どんな流れでこのメンバーでの録音になったのか、覚えていません。
自叙伝か何かの解説書に書いてあっただろうか。
モンクがピアノを弾いている、トラック1.と2.は12月24日にレコーディングされたもので「クリスマスセッション」、別の理由で「ケンカセッション」とも呼ばれます。
Bags' Grooveでのマイルスのソロ中は、ピアノは一切鳴っていません。
ここから、モンクの一風変わったバッキングの上ではソロをとりにくいためマイルスが怒り、弾かせなかったという逸話が生まれ、この作品も有名になりました。
しかし現在は、結局ケンカなんかしていなかったというのが定説になっています。
ソロ中コード楽器にコンピングさせないというのは、これから先マイルスが何度も使うアプローチになります。
そんな話が生まれるほど、生き生きとした演奏が聴けるCDになっています。
演奏のやりとりを聴いているだけで、メンバー同士の感情の動きが伝わってくるような。
この時このプレイヤーたちはどんな心境で演奏していたんだろう。
そんな事を考えるようになると、ジャズにどっぷりハマって行きます。
◇Pick up!!◇
2. Bags' Groove [Take 2]
ミルト・ジャクソン作曲。バグスというのは彼のあだ名です。
Take 1、Take 2のどちらを良いと思うか好みが分かれるところ。
典型的なブルース進行の中、マイルスのソロが確実に進化しているのが分かります。
語りかけるように、厳選された音で知的に吹くスタイルはこのころから確立されているようですね。
くどいくらいビ・バップのイディオムでソロをとるミルト・ジャクソンとのコントラストも楽しい。
モンクのソロは変態節が炸裂です。
5. But Not for Me [Take 2]
マイルスが好きだった、アーマッド・ジャマルがよく演奏していたスタンダード。
インテリジェンス溢れるトランペットソロ。
あらかじめいろいろ考えたものなのか、瞬間的にこんなものを思いつくのか。
プレイヤーの方はぜひコピーしてみて、コードに対してどんなアプローチをとっているのか研究してみてほしいですね。
ハード・バップらしい、キメも何箇所かで聴けます。
絵を描いたり音のおもちゃを
つくったりしてます。
なかよくしてね。
国立音楽大学
音楽文化デザイン学科
コンピュータ音楽系 卒業
多摩美術大学 大学院
情報デザイン領域